ECOLAM(エコラム)

「進化する企業緑地研究会」では、このたび、緑地をマネジメントするための評価手法、ECOLAM(エコラム)を開発しました。
  • ECOLAMEcological Landscape Assessment Matrix
企業の環境配慮意識が向上する中で、緑地保全に対する関心が高まっています。しかし、現在の企業の緑地保全活動には不十分な点があります。単に緑を増やすだけで環境を改善しているように考えている企業が多く、
  • 緑地の多様な効用を的確に把握していない、
  • 緑地保全活動による農薬の使用、廃棄物の発生、および事件・事故の誘引などのリスクの評価をしていない。
ことが現状です。
緑地にはさまざまな機能がありますが、保全活動が、それぞれの機能に対して、どのような"効用"や"リスク"を与えるかを分析し、定期的に評価をしなければ、質・量の向上はのぞめません。したがって、他の環境保全活動で行われているような環境マネジメント概念と科学的管理手法の導入が必要です。
今回開発したECOLAMは、緑地を総合的に分析し、評価するための手法です。これにより、企業による緑地マネジメントにおいて、適切な目的・目標設定が可能となり、緑地の質・量の継続的な改善が期待されます。包括的な手法であるため、以下のような用途に対して利用が可能です。
  • 従業員や市民の参加による緑地マネジメントの際の合意形成
  • 地理情報システム(GIS)を用いる詳細な手法の前段の概況評価
  • 定量化指標を用いた緑地マネジメントの費用便益分析
  • 環境会計などの情報開示

ECOLAM(エコラム)の特徴】
ECOLAMは、包括的で柔軟なシステムであるため、多様な緑地に適用することが可能です。立地条件や経営方針により異なる企業の緑地に適したシステムであり、ISO14001の認証を受けているサイトにも導入が可能です。

ECOLAM(エコラム)の利用者】
  • 緑地の設計者。(ランドスケープ・アーキテクト)
  • 緑地の工事実施者。(造園施工者)
  • 緑地の維持管理者。(造園管理者)
  • 緑地のマネジメント全体の担当者。(所有者、管理責任者)
  • 緑地のマネジメントに関するアドバイザー。(コンサルタント)

ECOLAM(エコラム)が適用可能な緑地】
  • 工場緑地
  • ビル緑地
  • 公園
  • 里山
  • 水辺環境など、多様な機能を有し、人の影響を直接的に受ける緑地。
(したがって、経済林、生産緑地など経済性を主目的とする緑地への適用は、想定していない。)

【今後の予定】
2000年度には、研究会会員の関連の緑地において、ECOLAMを実際に適用し、手法としての完成度を向上させる予定です。

ECOLAM(エコラム)の社会への影響】
緑地保全にマネジメント概念を導入するための一助となり、費用便益・リスク分析によって緑地空間の改善が期待されます。